『一人っ子政策』を16年に廃止した中国【住宅バブル崩壊】の兆候。日本の二の舞「失われた30年」で習近平体制は終焉。

『一期一会』

2021年05月27日 16:08

(1)国家統計局は「19年に14億人を突破した」としているが、「18年に中国の人口は減少に転じ、20年の人口は12億6000万人。あらゆる政策が誤ったデータをもとに策定され、今後の人口政策に不利益をもたらす」と警鐘を鳴らしている(5月3日付日本経済新聞)。
(2)中国の15歳から64歳までの生産年齢人口は13年にピークをつけたが、7年後に総人口のピークを迎えたとすれば、日本の場合よりもペースが格段に速い。
(日本の生産年齢人口は1992年に、総人口は08年にそれぞれピークを迎えた)。
(3)中国は出生数の増加に向け、「一人っ子政策」を16年に廃止、その後も出生数は大幅に減少、中国人民銀行は4月下旬、「産児制限を完全に廃止すべきだ」とする異例の主張を行った。その理由として「高齢化の危機を技術進歩や教育水準の向上で補うことは困難であることは日本の事例が証明している」。人民銀行は産児制限の撤廃に加えて、出産奨励といった抜本策も主張しており、「若者が都市部に住宅を構えられるよう、住宅価格を抑制すべきである」と強調。
(4)中国では20年以上にわたって続いた不動産バブルで、都市部の住宅価格は普通の人々の手が届かない高値になった。独身者が賃貸アパートに住むことは許されても、結婚して賃貸アパートに住み続けることは社会的通念ではありえない(2月16日付「現代ビジネス」)。
 新婚夫婦はマンションを購入するために多額の住宅ローンを組まざるを得ないが、月収に占める住宅ローンの返済額は5割に達しているという。昨年11月に実施された調査、3分の1が「高い住宅費が2人目の子供を持つことを拒む原因になっている」と回答。
(5)目先の経済成長のみを重視してきた長年のツケが「少子化」という深刻な現象に危機感を持った中国政府は、「住宅コスト」の抑制という重い課題に取り組み始めている。
(6)中国の金融監督当局は昨年12月末、「今年1月から銀行の住宅ローンや不動産企業への融資に総量規制を設ける」と発表。中小企業を支援するための金融支援を拡大したが、その副作用で投機マネーが不動産市場に流れ込み、大都市を中心にマンション価格が高騰。
(7)中国共産党中央政治局は4月30日、住宅市場について「住宅は住むためのものであり、投機のためのものではない。様々な不動産市場での投機防止を行う」と改めて警告を発した。投機筋が銀行融資を不正手段で獲得し、これを元手に不動産を購入する動きが活発化、大都市の不動産市場がさらに過熱する様相を呈している(4月16日付ロイター)。
(8)出生数の激減がもたらす少子高齢化の急激な進行は、30年にわたって続いてきた中国の高度成長を終焉させ、世界の覇権国となる夢を奪う。習近平指導部は金融分野での統制権限をようやく手中に収めた(4月28日付日本経済新聞)が、毛沢東が50年前に遭遇した国難(人口減少)に立ち向かうため、長年の懸案であった「バブル潰し」を断行するのではないだろうか。
(9)現在の中国のマクロ経済状況は30年前の日本と酷似しており、史上最大規模のバブルが崩壊すれば、中国も「失われた30年」を経験することになる。中国の人口減少による悪影響は中国経済だけにとどまらない。
(10)冷戦後の世界経済は、中国をはじめとする共産圏の安価な労働力のおかげで長年インフレという悪夢に苦しめられることはなかったが、中国の人口減少は「低インフレ時代」が終わることを意味する。中央銀行は今後引き締めモードを余儀なくされ、世界規模のバブルも崩壊。
〈藤 和彦〉氏より引用、詳細は下記を参考にして下さい。
中国、急激な人口減少、史上最大規模のバブル崩壊の兆候、世界的インフレ到来の悪夢
https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/fuji-kazuhiko/261.html
中国に住宅バブル崩壊の兆候。日本の二の舞「失われた30年」で習近平体制は終わる
https://www.mag2.com/p/money/1030092









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